FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

32Hのハブで20Hのリムを組む 2





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以前、32Hのハブと20Hのリムを組み合わせてドライブ側とノンドライブ側のスポーク本数を同じに組んだホイールを紹介しましたが、今回、ドライブ側とノンドライブ側のスポーク本数を変えた新たなスポークアレンジのホイールを組んでみました。

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ハブはシマノ ULTEGRA 6800 の 32H です。

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新たなスポークアレンジは、「出来るだけ均等なスポークパターンにする」「ドライブ側もノンドライブ側もタンジェント組にして0クロス組はしない」「11S用のハブで増大したドライブ側とノンドライブ側のスポークテンションの差を出来るだけ少なくするためにスポーク本数の組み合わせを変える」、以上の3点を実現するように考えました。
ラジアル組では無く0クロス組と表現したのは、殆どのリムとハブのスポーク穴がハブ軸から一直線上にならないため、スポークをクロスせずに張ってもハブ軸のラジアル方向に向かってスポークが張れないためです。

まず、ドライブ側とノンドライブ側のスポーク本数の組み合わせを考えました。
24Hのリムと違い2:1の割合にはできません。仮に2:1の割合にできてもノンドライブ側をタンジェント組にした場合スポークテンションが高くなりすぎます。
ドライブ側を12本に、ノンドライブ側を8本にして、3:2 の比率にするとノンドライブ側をタンジェント組にしてもスポークテンションのバランスが良さそうです。

ドライブ側は3本一組のスポークパターン4組で構成し、ノンドライブ側は通常の2本一組のスポークパターン4組で構成しました。
画像のようにドライブ側の3本一組のスポークパターンとノンドライブ側の2本一組のスポークパターンを組み合わ5本一組のスポークパターンを構成し、5本一組のスポークパターンを4組組み合わせたスポークアレンジになりました。

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画像のように、水平垂直方向にほぼ平行に張られたスポークを境にして鏡対象になるようスポークを配置してあります。
3本一組のスポークパターンを一方向にだけで構成した場合、縦振れが大きく出て取り切れなくなるため、このようなスポークパターンにしてあります。
以前紹介した24Hと20Hリムのホイールでは、ドライブ側とノンドライブ側の3本一組のスポークパターンを JIS組のように両側で対象に配置して対応していました。


32Hのハブと20Hのリムを組み合わせているので、当然スポーク穴の位相のズレが起きています。
できるだけ均等にスポークを配置するために、ドライブ側ではスポークの組数を変えて組んでおり、位相のズレと合わさることで、ドライブ側には4種類の異なる長さのスポークが必要になりました。


5本一組のスポークパターン毎に縦振れを優先して振れ取りを行い、最終的に4組のスポークパターン同士の振れを調整しました。
ドライブ側のスポークがほぼ平行に2本続けて配置されている部分が4箇所あり、2:1 のスポークアレンジのホイールと同様に、縦振れの追い込んだ調整には限度があります。
2:1 のスポークアレンジのホイールと同等には縦振れを調整できているので、実走しても縦振れの感知することはできません。

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スポークは、ドライブ側に 2.0mm プレーン、ノンドライブ側 2.0-1.8mm バテッドを採用しました。


ドライブ側とノンドライブ側のスポークテンションの差は、指で確認した範囲では殆ど無いレベルまでになっています。


実走したところ、10Sの 20Hのハブと20Hの同じリムで組まれたホイールよりも掛かりが良く踏み込みに対する反応が良いようです。
コーナーでの踏ん張り感も良く、ねじれ合成や曲げ合成が向上したように感じます。
異なるスポーク長さを組み合わせ位相のズレたハブとリムで組まれたホイールに起こり易い、スポークの緩みや振れの出やすさなどは、走行した距離がまだ短いので実用に耐えるはまだ未知数です。