FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

完組ホイールのオーバーホール


FLUENTEでは、完組ホイールの点検、調整、オーバーホールを承っております。
FLUENTEまでご相談ください。


FLUENTE
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お客様より完組ホイールのオーバーホールを承りました。

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CANPAGNOLO SHAMARU ULTORA です。

フロント、リヤ共に、ハブ軸を持ってホイールを回すとジャリジャリした感触があるので、点検とハブのオーバーホールをご希望です。

ホイールとして点検したところ、フロント、リヤ共に大きめのセンターのズレと縦振れがあったので、こちらも調整することになりました。

ハブを分解して、グリスの様子や球当たりを点検すると、フロントハブ、リヤハブ共に、グリスが黒く汚れていました。
球当たり部はワンにも球押しにも細い線状跡が付いていて、目視での異常はありませんでした。
グリスを指で擦るとザラザラした感触があります。  

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CANPAGNOLOのUSB ベアリングの球押しとワンは研磨がされておらず、硬いセラミックのベアリングで球押しとワンに当たりが付くようになっているようですが、研磨されていない球押しとワンに線状跡が付く間に磨耗した部分がグリスに混じり、回転の感触がジャリジャリする原因になっていたようです。

フロントハブ、リヤハブ共に洗浄して、質の良いグリスを充填し、組み立て、球当たりを調整しました。
USB ベアリングは、球当たりの当たりが付いても回転の感触がわずかにザラザラした感じになっているものがほとんどです。 このハブもフロント、リム共に回転の感触がザラザラしています。
今回充填したグリスには、球当たりを滑らかにする作用があるので、この状態で使用して、更に当たりが付いたところで再びオーバーホールするのが良いでしょう。

フロントハブ、リヤハブ共に、ギリギリまで追い込んで球当たりを調整してあります。

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ホイールの調整は、大きめのセンターのズレと縦振れを取るのですが、CANPAGNOLOとFULCRUMのある時期のホイールはニップルの緩み止めに強めのネジロック剤が使われていて、増し締め方向に回そうとしてもニップルが回転せずにアルミ製のスポークが捻れてしまうことがあります。 
ステンレス製の細いネジと捻れの強さでは問題になり難いのですが、太いネジが使われていてネジロック剤が強く効き、捻れに対して弱いアルミ製のスポークは比較的簡単に捻れてしまいます。
塑性変形してしまうと、スポークは交換しなければならなくなります。

ニップルは、緩める方向なら比較的安全に回すことができますが、ネジロック剤が強く効いていると、緩める方向でもスポークが捻れてしまう場合がありますから、慎重に回す必要があります。
スポークを一度回すとネジロック剤の効きが緩みますが、ニップルを締めてスポークテンションが高まるとニップルが回り難くなり、スポークが捻れる恐れからスポークテンションを必要なところまで高められない場合がでてくるので、ニップルの回りを確保してからニップルを締める作業をする必要があります。

今回のホイールは、ネジロック剤が強く効いているものでした。
リヤホイールはノンドライブ側にセンターがズレていて、大きめの縦振れもあり、増し締めしてセンターのズレや縦振れの調整をしたいのですが、ネジロック剤の効きを緩めてニップルの回りを確保する処置をしてから、センターのズレと縦振れの調整をする必要があるので、まず、ニップルを大幅に緩めてから、改めてセンター出しと振れ取りを行っています。

フロントホイールのセンターのズレと縦振れの調整も同様に行っています。
ロープロファイルのリムでスポークの本数が16本しかないので、スポークテンションを高めて行くとリムの蛇行が始まってしまいます。
蛇行が始まるギリギリのスポークテンションで、センター出しと振れ取りの作業を終えています。