FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

オフセットリムと135mmのハブでホイールを組みました。


FLUENTEでは、乗り方や体重を考えて組み上げる手組みホイールの企画、組み上げを承っております。

FLUENTEまでご相談ください。

FLUENTE
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お客様より手組みホイールの注文を承りました。

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前輪は700C規格のオーソドックスなホイールですが、後輪は700C規格のオフセットリムとロックナット間寸法が135mmのハブを組み合わせたロード用のホイールという変則的な構成です。

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ロックナット間寸法が135mmのハブはMTB用やシクロクロス用を使用しないで、6800 アルテグラ の11Sハブのロックナット間寸法を130mmから135mmに変更してから組み上げます。

ハブが11S用になってから左右のスポークのテンションの差が大きくなり、普通に組むと左側(ノンドライブ側)のスポークテンションが低くなってしまうことを嫌い、オフセットリムと135mmに変更したハブの寸法により左右のスポークテンションの差をできるだけ少なくしたホイールが欲しいとのお客様からのご要望により、パーツの構成を考え組み上げました。

お客様は、先にリヤエンド幅が135mmのロードフレームをCr-Mo でオーダーなさっています。

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リムは国内で入手可能な唯一のオフセットリム DT RR440 です。
使用するハブと体重を考えて32Hを選択しました。
このリムは、左右対称のリムとオフセットリムの両方があり、左右対称のリムを前輪側にオフセットリムを後輪側に使用します。

後輪側のオフセットリムはスポーク穴が 2mm 程度オフセットしているので、ハブのオチョコ量が 2mm 程度減ったことと同じになります。
10Sから11Sになって増えたオチョコ量は約2mmで、同じように組んだ10S用ハブと11S用ハブのホイールのスポークテンションの左右差をご存知ならば、この2mmがどれ程大きな影響があるかはお分かりでしょう。

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6800 アルテグラのリヤハブは、シャフトをMTB用ハブのものに入れ変えてスペーサーを足し、ロックナット間寸法を135mmに変更します。

130mmと135mmの差 5mm の半分、2.5mm リムが左側に寄ることになるので、その分だけオチョコ量が減ることになります。

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画像は、シマノのデジタルアジャストシステムです。

玉押しの外周部に刻まれたスプラインが、玉押し保持間座の内側に刻まれたスプラインと噛み合い、玉押し保持間座がハブシャフトを端に刻まれた2面に嵌り込むことで、ハブシャフトに対して玉押しの位置決めをしています。
この方式ですと玉押しは 360°/40=9° 間隔でしか調整ができませんから、できるだけガタがないところに玉押しの位置を調整すること以上のことはできません。殆どの場合、玉当たりは締まり過ぎになるはずです。

ネジとスプラインとシャフト端の2面が
、偶然ギリギリの玉当たりになる位置の組み合わせになっているものだけが、追い込んだ玉当たり調整と同じ玉当たりの具合になります。
誰が調整しても同じ玉当たりの具合になりますが、より技術を持つ人がそれ以上の玉当たりに調整することはできません。

交換したMTB用のシャフトはデジタルアジャストシステムが採用される前のモデル用のものですので、ハブスパナとアーレンキーで無制限に調整することができます。

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オフセットリムとロックナット間寸法を130mm から 135mm に変更したことで左右のスポークテンションの差はかなり改善していますが、左右のスポークテンションの差をさらに小さくするために、
右側(ドライブ側)を#14 プレーンスポークで4本組に、左側(ノンドライブ側)を#14-15 バテッドスポークで8本組にしています。

左側(ノンドライブ側)は、剛性向上のためにあや取りをWクロスにしています。
スポークの通しかたはイタリアンです。

現在、国内に流通しているパーツを使用してできる、左右のスポークテンションのバランスの改善方法を全て盛り込んで組み上げたホイールになりました。

左右のスポークテンションの差は、手で確認する範囲では殆ど感じられないレベルまでになっています。