FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

シマノ製フロントディレイラーのワイヤリング





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シマノロードバイク用コンボのフロントディレイラーは、DURA-ACE 9000 シリーズから採用され、その後 ULTEGRA 以下 TIAGRA  4700 シリーズまで採用された、フロントディレイラーのアームが長く、インナーの位置ではアームがほぼ垂直になるようにデザインされたものになっています。

このタイプのデザインのフロントディレイラーは、アームを長くしてワイヤーとアームの角度を少なくすることで、シフトアップ時のデュアルコントロールレバーの操作力が大幅に少なくなっています。
しかし、フレームのワイヤーリードからのワイヤーの角度とアームの角度が近いために、ワイヤーのアームに対する取付け角度の許容範囲が狭く、設定通りにワイヤーを取付けないと正常に作動させることができません。

当店で変速の調整をさせていただいたロードバイクの中には、ワイヤーが正しい位置に取付けられていなかったために、フロントディレイラーが正常に作動させることができない状態だったものが数台ありました。

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ワイヤーを正しい位置を通して取付けるために、アームにはワイヤーの通る位置を調整するコンバーターというパーツが着いています。

コンバーターの位置を変えて、ワイヤーがコンバーターに当たるように取付けるか当たらないように取付けるかで、ワイヤーのアームに対する取付け角度を設定通りに調整することができます。

ワイヤーがコンバーターに当たる取付けが設定通りになるのか、当たらない取付けが設定通りになるのかは、測定治具である TL-FD28 をフロントディレイラーに取付けてワイヤーを当てて判断する必要があります。

コンバーターにワイヤーが当たらない取付けが設定通りなのに、ワイヤーをコンバーターに当たる取付けにしていたり、ワイヤーが通る位置自体を間違えて取付けられていると、フロントディレイラーは正常に作動しません。

このような状態でワイヤーが取付けてあると、デュアルコントロールレバーシフトアップ方向にフルに作動させてもフロントディレイラーの羽が必要量外側に移動ず、アウター側に変速しません。

アウター側に変速するようにワイヤーアジャスターを調整していくと、アジャストボルトで設定したインナー側の羽の位置が外側にズレるまでワイヤーを引いた状態にすることでアウター側に変速するようになります。

ディレイラーの羽がワイヤーが引かれたことによって外側に移動してしまうので、リヤスプロケットのロー側を使用すると、チェーンがフロントディレイラーの内側の羽に擦る状態になってしまいます。

フロントディレイラーの調整設定が正しく行われており、ワイヤーの取付けが設定通りならば、チェーンリングのインナーからアウターへ確実に変速し、チェーンリング側がインナー、スプロケット側がローの組合せでもフロントディレイラーの内側の羽にチェーンが擦ることはありません。

上記コンボシリーズのフロントディレイラーが装備された自転車で、チェーンリング側がインナーのときに、ロー以外のスプロケットにチェーンが掛かっている状態でもフロントディレイラーの内側の羽にチェーンが擦る場合には、フロントディレイラーにワイヤーが正しく取付けられていない可能性が高いので、確認して調整をする必要があります。

新型のDURA-ACE 9100 シリーズのフロントディレイラーは、アームの長さと角度が 7900 シリーズに近い形に変更されたので、ワイヤーの正しい取付け位置を測定治具で測定して調整する必要はなくなっている可能性が高いです。