FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

タイヤの太さと転がり抵抗について

最近ロードレースの世界では、700×25Cサイズのタイヤを各プロチームが採用しており、新製品も続々登場しています。

幅広いユーザーに広がっていくであろう25mm幅のロードバイク用タイヤですが、タイヤ幅とタイヤ空気圧と転がり抵抗との関係について誤解を招き易い記述を目にしたので、考察してみました。

イメージ 1


メーカーが発表している転がり抵抗のグラフや数値を元に記述されているのですが、タイヤサイズが23Cのタイヤと25Cのタイヤでは、空気圧が同じ場合、23Cと25Cではタイヤの接地面積が殆ど変わらないために、25Cのタイヤの方がタイヤの前後方向の変化量が減り、転がり抵抗が小さくなるとしています。

イメージ 2


転がり抵抗は、直径の大きな金属製のローラーにタイヤを押し付け、ローラーに力を加えてタイヤを転がして抵抗を測定した数値が用いられています。
転がり抵抗を測定する方法としては広く用いられている方法で、スタンダード化されているとも言え、現在でも転がり抵抗の値同士を比較する場合は、この方法によって得られた数値を比べるしかありません。
この方法で得られた転がり抵抗の数値は、タイヤの変形量が少ないほど少なくなるため、空気圧を高くしてタイヤの変形量を少なくすれば転がり抵抗の値も少なくなると言う結果にしかなりません。
空気圧が同じなら、25Cのタイヤ方が23Cのタイヤよりも変形量が少ないために転がり抵抗が少なくなるのは、この方法で測定した場合当然の結果といえます。

一般の舗装路を走行した場合は、タイヤの変形量が少なくなるほど転がり抵抗が少なくなると言う結果にはなりません。
接地面が磨かれた金属面では無く、滑らかと言える状態でも路面の凸凹が体感でき、ある程度の速度で走行している状況では、タイヤの変形量が少なすぎると、路面の凸凹によりタイヤが跳ね上げられることにより転がり抵抗が増加してしまうからです。

空気圧を同じに設定した場合、25Cのタイヤの方が23Cよりも変形量が少なくなるので、25Cのタイヤの方が路面の凸凹により跳ね上がり易くなります。
同じモデルの25Cのタイヤと23Cのタイヤの空気圧を同じ値で変形量が少なくなるように設定して乗り比べると直ぐに分かります。
25Cのタイヤの方が乗り心地が硬くなり、路面の凸凹がダイレクトに感じられ、タイヤが路面から跳ね上がることで転がり抵抗が増加して、走りが重たくなります。

実際の走行では、23Cのタイヤよりも25Cのタイヤの方が転がり抵抗が大きいかと言うと、タイヤの空気圧の設定次第で25Cのタイヤの方が23Cのタイヤよりも転がり抵抗が少なくなります。
空気圧を同じ値に設定するのでは無く、タイヤの転がりを重たく感ない範囲で、空気圧をできるだけ低く設定することで
、路面の凸凹によるタイヤの跳ね上がりを少なくして、転がり抵抗を低く抑えることができます。
この場合は、空気圧を低く設定することができる太いタイヤの方が優位になりますし、エアボリュームが増えてタイヤの変形に伴うエネルギーロスも減少するため、転がり抵抗がより減少します。

一般的な舗装路面を走行するときのタイヤの空気圧と転がり抵抗の大きさの関係については、タイヤの空気圧を高く設定して行くと、ある値までは転がり抵抗が減少して行くが、その値を過ぎると転がり抵抗が増加して行くことを、タイヤメーカーのミシュランが発表しています。
どの程度の空気圧で転がり抵抗が増加し始めるかは、路面の凸凹やタイヤの構造などにより変わってくるので、数値で表すのは難しくなります。
このような、転がり抵抗の数値は殆ど公開されていませんし、公開されたとしても、測定方法や測定条件が確立しておらず、同条件での測定ではないため、直接比較することができません。

個人でタイヤの空気圧を設定する場合、同じ路面を空気圧を様々に変えて繰り返し走行して、タイヤの跳ね上がりが少なくて転がりが良いと感じられる空気圧を探し出す必要があります。
タイヤの構造によっても大きく違いがでるので、モデルを変えて乗り心地と転がりの良いものを探し出すことも重要です。

転がり抵抗の数値から、今となっては、転がり抵抗が優れているクリンチャーを使うべきで、チューブラータイヤは時代遅れな旨の記述もありましたが、チューブラータイヤは、その構造から乗り心地に優れタイヤの変形に伴うエネルギーロスが少ないために、路面状況によってはクリンチャーよりも転がり抵抗が低くなります。

イメージ 3


チューブラータイヤ用のリムは、クリンチャー用のリムよりも軽量で、また、重量が同じなら空力的に優位な形状のリムが使用できるなど、チューブラータイヤを使用するメリットはまだまだ多いので、試す価値は十分にあります。