FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

当世ハブ事情

このところ、6800アルテグラや9000、7900のデュラエースのハブを触る機会が増えてきていますので、感じたことを少し書きます。

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シマノのロード用ハブは、ハブ軸をアルミにしたためにシャフト径が太くなり、外形寸法をあまり変更していないので、結果としてベアリングの直径が小さくなり、数を増やしたデザインになっています。

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新品やオーバーホールするためにお預りしたハブや完組ホイールのハブの回転の具合をチェックすると、ベアリングの直径が伝統的な大きさでデザインされていたものと比べて、回転の具合が悪くなったように感じられます。

ベアリングの直径を小さくすると転がりが悪くなるのは、直径の大きなタイヤと小径のタイヤでは、小径のタイヤの方が転がりが悪いのと同じことで、金属のベアリングでも僅かに変形しながら回転するために、直径の小さくすると転がりが悪くなってしまいます。

ベアリングの直径が伝統的なデザインのカップ&コーンタイプのハブで仕上げの良いモデルは、馴染みが出たところでオーバーホールしてから球当たりを追い込んで調整すると、抵抗を殆ど感じないスルスルとした感触に仕上がるのですが、
ベアリングの直径を小さくしたデザインのハブでは、仕上がりがスルスルよりもやや抵抗が大きな感触です。

まだ、あまり使い込んだものを見ていないので分かりませんが、ベアリングの直径が小さくなり面圧が高くなっているので、球当たり部の寿命が短くなっていないか心配です。

シマノのとしては、ハブ全体の大きさを大きく変えないまま、シャフトをアルミにして軽量化を図り、新型=軽量ということでアピールして行こう、カンパもやっているし、なんだと思いますが、機械的に見たら、アルミのシャフトにしてもベアリングの直径は変えずに、外形寸法が大きくなっても重量は従来モデルと同じで、回転の具合と球当たり部の寿命は向上してます、の方が正しい方向のデザインでしょう。

ホイールの中心部であるハブが僅かに軽くなっても、走りには全く影響しないレベルのことなので、この部分の軽量化は、完組ホイールのカタログ重量を良く見せるためぐらいにしか、役に立たないですね。
電動を広めたいメーカーとしては、個々のパーツの重量を軽くして、電動コンボの重量を少しでも軽く見せたいという事情もあるのかもしれません。

シマノもカンパもハブのベアリングの直径を小さくしてしまい、どちらのメーカーのハブも、回転の具合や球当たり部の耐久性が低くなったように感じられます。


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カンパの、古典的なボスフリー用のハブで仕上げの良いモデルは、初めから回転の具合がスルスルしていて、球当たり部の耐久性も、素人がメンテナンスと調整を怠らなければ一生持つと思われたものでした。

シマノもカンパも、カンパの古典的なモデルを超えるハブを開発して欲しいと思うこの頃です。

カップ&コーンタイプのハブは、オーバーホールしてから球当たりを追い込んで調整すると、殆ど抵抗を感じないスルスルした感触に仕上がると書きましたが、
ハブの球当たり部の仕上がりに左右されるので、低いグレードのハブでは、仕上がりにバラツキがでて、高いグレードのモデルと同じ感触に仕上がる物もあれば、そこまでのレベルには仕上らない物もあります。
全く手を入れていないものよりは確実に回転の具合が良くなるので、是非試してみてください。
具体的な速さには、直接繋がらないかもしれませんが、ハブの寿命を伸ばすことができますし、何より、パーツがスムーズに動いているのは気持ちの良いことです。