FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

Aヘッドパーツ点検の勧め

スポーツ自転車のヘッドパーツは、殆どAヘッドタイプが採用されるようになっていて、昔ながらのスレッドタイプのヘッドパーツは、クラシカルに見せたい一部のモデルにしか採用されなくなってしまいました。
輪行のときにハンドル周りを外す前提のランドナーなどでは、見た目だけで無く機能としてスレッドタイプのヘッドパーツが必要とされて、採用されてはいますが。

近年殆どのスポーツ自転車に採用されているAヘッドタイプのヘッドパーツは、スレッドタイプのヘッドパーツに比べて防水性が著しく劣っています。

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図と写真のように、スレッドタイプのヘッドパーツでは、上球押しの上に上ワンが被っていて中にグリスがたっぷり入っていることもあり、下球押し側のシールがしっかりしていれば、雨のなかを1日走った程度では問題が起きることは殆どありませんでした。
これは、フレーム側に上ワンがあり上球押しが被っているタイプのヘッドパーツでも同じことで、上ワンに上球押しが被っているために水が侵入することが殆どありません。

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Aヘッドタイプのヘッドパーツでは、図と写真のように、上側のベアリングの受けであるヘッドチューブ又は上ワンの上にトップキャップが乗っているだけで、
ゴムのシールが付いているものもありますが、回転部分なので接触タイプではなく、結果トップキャップの下側に僅かに隙間があります。
雨のなかを走行すると、この隙間から雨が吹き込んできます。
ヘッド部品中に水が入ったまま使い続ければ、当然グリスが流れてしまいベアリングが錆びてしまいます。
特に、カートリッジタイプのベアリングでは、ボールとリテーナーが錆びてリテーナーがグシャグシャになり、錆びて痩せたボールがボールレースの中で偏り、ヘッドパーツに大きなガタが出てしまいます。
こうなると、ガタを取るように調整しようとしてコンプレッションボルトをガタがなくなるまで締め込むと回転が重くなり過ぎ、回転が軽くなるところまでコンプレッションボルトを緩めるとガタが出てしまい、ヘッドパーツの調整が取れなくなっています。
ヘッドパーツの分解してみると、ベアリングが錆びてボロボロになっていることが殆どで、シールドベアリングタイプではシールドベアリングの交換、カップ&コーンタイプでは最悪ヘッドパーツ全交換になってしまいます。

Aヘッドタイプのヘッドパーツは、雨の中を走行したあとヘッドパーツを分解して、上下のベアリングに水が侵入していないか点検をマメした方が良いですね。
また、水を侵入し難くするために上側のベアリングとトップキャップの間に、防水性の高いグリスを盛って置くのも良い方法です。

自動車のラックに自転車を乗せて雨の中を高速で走行すると、自転車の各部に水が大量に侵入する最悪の状態です。
ルーフラックに、前方に向けてAヘッドタイプのヘッドパーツを採用した自転車を搭載して雨の高速道路を走行したりすると、ヘッドパーツの下側から水が流れ出てくる程です。
スレッドタイプのヘッドパーツといえども水が侵入する恐れがあります。
そんな条件下で自転車を運ばざるを得なかった場合は、ヘッドパーツだけで無くフレーム内部や各パーツに水が大量に侵入したり掛かり続けていたのですから、
必ずオーバーホールして各パーツへの注油やグリスアップ、フレーム内部の水抜きを実施して下さい。
特に鉄やアルミのフレームでは、水抜きと乾燥を怠るとフレームチューブの内側から腐食してしまうので、永く乗り続けるためにもしっかりと作業することが必要です。