FLUENTE店長の四方山話

自転車について徒然につづっています。

32Hのハブで24Hのリムを組む


FLUENTEでは、乗り方や体重を考えて組み上げる手組みホイールの企画、組み上げを承っております。

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近年、完組ホイールが隆盛なため入手出来るハブの種類が少なくなってしまいました。

シマノのハブではデュラエースグレードのハブが24/28/32/36Hの穴数が用意されていますが、その他のグレードでは32/36Hの2種類だけ、カンパニョーロに至ってはレコードグレードで32Hのハブしか用意されていません。

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手組のホイールが組まれる機会が大幅に減り、ハブの売上げが見込めない現在の状況では仕方のないことかもしれませんが、手頃な価格帯のカップ&コーン形式のハブでホイールを組みたい場合に困りますし、カンパのハブで組みたい場合は32Hのハブしか選択肢がありません。

現在入手出来るリムの穴数は、16/18/20/24/28/32/36Hになります。

16Hと28Hのリムは他の穴数のハブを使って組んでもバランス良くタンジェント組に出来ますが、20/24Hのリムは、同じ穴数のハブ以外で組むと完全にバランスが取れたタンジェント組にはできません。

今回は、24Hのリムを出来るだけバランスの取れた実用可能な状態に組むことを
考えてみました。

24Hのリムを32Hのハブで組む場合、1番バランスの取れた組み方はドライブ側を16本のタンジェント組、ノンドライブ側を8本のラジアル組にした形で、シマノのオプトバルと同じ形式になります。
2:1組のホイールでは、ラジアル組側のスポークの負担が増えるので、首有りのスポークで組むとスポークの折れるリスクが高いのですが、バランスの取れた組み方は他にないので組んでみました。

リムの穴の左右の振りを無視して組む箇所出てきますが、エアロ形状のリム等で比較的振りの小さいモデルならば殆ど問題になりません。ただし、ニップルに曲げ方向の力が強くかかることになり、アルミニップルは曲げ方向の力に弱いので真鍮のニップルを使用します。

組み上げて試乗してみましたが、掛かりが甘くコーナーでの踏ん張り感も弱い感じです。
ドライブ側とノンドライブ側が同数のスポークで、ノンドライブ側をラジアル組にしたホイールよりは掛かりも踏ん張り感も良いと思いますが、バランス良く組まれたタンジェント組のホイールより劣った印象です。
ストレートスポークなら掛かりも踏ん張り感も良いホイールが組めると思いますが、首有りのスポークで後輪を組む場合にはラジアル組を採用したくはありません。

両側をタンジェント組して出来るだけバランスの取れた組み方を考えた結果、写真のような組み方になりました。

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3本一組のスポークを4組組合せて片側の12本のスポーク組を構成しようと考えて組んでみましたが、結果的には交差させた2本のスポークを4組均等に配置して、余ったリムの穴に角度と長さが出来るだけ近い形で4本のスポークを渡した構成になりました。
ドライブ側とノンドライブ側のスポークパターンを鏡対象に配置してバランスを取っていますが、ノンドライブ側のスポークの配置はイタリアン相当にしてあります。また、ドライブ側とノンドライブのスポークの組数を変えてスポークテンションのバランスを向上させています。

スポーク編みは、タンジェント組プラス4本で組んで問題なかったのですが、ディレーラーを変更したらプーリーケージとスポークが干渉するようになったので、スポークの通し方を変更して写真のような編み方にしています。

試乗して見ると、掛かりも踏ん張り感も特に問題を感じることはなく、乗り心地も含めて穴数が同数のハブとリムで組まれたホイールとの差を感じることはありませんでした。

スポークの角度と長さが違う組み方の場合、スポークの緩みが頻発したり問題が出る場合が多いのですが、写真の組み方では、私自身が約4ヶ月間通勤で使用してもスポークの緩みや振れは起きていません。
60kg程度の体重のパワーの無いライダーが使用した結果に過ぎませんが、路面の凸凹や段差を意識的に通過したりして試した結果でもあり、十分に実用になると思います。

現在は、同じハブを使用して20Hのリムを組上げたホイールを通勤で試しています。